【漫画】蒼天航路 曹操の生涯を容貌の変化から追う弐

曹操　北伐時



招聘に応じない人への対処法を示す曹操。
額に皺ができ、流石に年齢を感じさせる。

この頃の北伐の話も劉備が絡んでこないため、
劉備主役の三国志ではスルーされることが多い。

覇王・曹操自らが長城を超えた北伐の価値を解説した
最初の三国志漫画ではなかろうか。

曹操　赤壁時



今までの戦も他の三国志漫画と比べると相当変わっていたが、
この赤壁は特に異質である。

まず、曹操には孫権と戦う気は一切無く、
開戦の発端となった文章は(作中に明確な記述は無いが)
孔明の仕掛けた偽書状である。

そして肝心の曹操は川魚に当たって瀕死の重態に。長らく戦陣から姿を消す。

その後の展開は説明すると長くなるので割愛するが、
なんとか黄蓋の偽投降まで話を繋げる事ができたぞ。

曹操　馬超の乱付近



白髪が頭に混じり始める。
この頃の曹操と名医・華蛇の独房でのやり取りは
蒼天航路の中でも三本の指に入る名シーンだと思う。

曹操　荀死後



急にこれである。
ネット上でも「その老け方有り得ん」と大いに話題となった。
黄巾の乱の頃より主従の関係にあった荀の死が応えたのだろうか。

曹操　荀攸死後



荀攸の葬儀の最中、急に「無の目」の境地を表す。

「何も発さぬその姿」
「常に動こうとする水の本性」
「奥底にあらゆる有に化けるものを潜んでいるこの無」

などと色々言われてきた目だが、
濡須で張遼の話を聞いていたらいつの間にか普通の目に戻っていた。
この目で何を表現したかったのか僕にはわからない。

誰か分かる方がいたら教えてください。

曹操　魏王の頃



ついに黒髪のほうが少なくなり、外見は立派な老人と化した曹操。
官渡以降、次第に増えていったユーモラスな言動と行動が愛嬌の域にまで達した。
このため、この頃が一番好きという人は結構多い。(俺調べ)

曹操　晩年



晩年では演義だと関羽の亡霊に祟られたり、
神木を切ったら血が吹き出て驚いたりと散々な目に合った曹操。

蒼天では「そろそろ死ぬぞ」と実に能動的に死へ向かっていった。

あの曹操の遺令が、「儒家的厚葬を覆す画期的なものであった」
との解釈はこの漫画で始めて知った。

「曹操は死してもなお曹操を貫いた」の一文が
まばゆい光彩を放つ渾身の死に様だった。
享年66歳。

世に三国志漫画は数あれど
ここまで曹操を描こうとする作品はもう二度と世に出ないだろう。
そう思わせるだけの力が蒼天には満ちている。

曹操〈上〉―魏の曹一族 (中公文庫) 陳 舜臣 中央公論新社 2001-03 売り上げランキング : 74166 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools