【特撮】人身事故の唸り…鉄人タイガーセブン

第23話「悪魔の唸り コールタール原人」

タイガー1、コールタール原人の暗躍

工事現場付近で人間がコールタールで固められるという原因不明の事件が多発。

ここで「別にコールタール原人だからって工事現場だけ狙わなくてもいいんじゃね？」
と思った人もいるだろう。確かに、空気を読み過ぎているようにも思える。
だが、騙されてはいけない。これがムー帝国の陰湿な策略なのだ。

工事現場でコールタールの事故…一見すると不自然な点は何処にも無い。
警察はコールータールの取り扱いまたは品質の問題による
事故だと見て捜査を進めるだろう。
こうやって原人の正体を巧みに暗まし、日本に社会不安を広げるのが
いつもの奴らのやり口なのだ。

さて、ここで事件は進展を見せる。
メンバーの紅一点ジュンが原人が人をコールタール漬けにしている
現場を目撃したというのだ。


こんな感じでやられてます

この報告を受け、秘密研究隊は早速調査に乗り出した。

既に人も原人の姿も無かったが、
コールタールで固められた靴と手を発見。原人の影を見る！

剛「なんて惨い事を…」
北川「剛、それだけじゃない！このアスファルトの下に限らず、
　　　 ムー原人に殺された人が埋められているのかもしれないんだ！」

高井戸博士「その通りだ。
　　　　　　　　我々はこの近代都市東京を住みやすいように作ったはずなのに、
　　　　　　　　いつの間にかそれが間違いである事に気付いた。
　　　　　　　　
　　　　　　　　車公害…河川の汚れ…それは皆、我々の犯した過ちなんだ！
　　　　　　　　そして今また、コールタールという
　　　　　　　　我々の作った新しいものを敵としなければならない…」

話を飛躍させすぎではないか？

タイガー2、そして、事故は起こった…

人々のの安全を守るため、秘密研究隊は
二班に分かれて原人の捜索に当たることにした。
地道な探索が実を結び(2分ぐらいしか経ってないけど)
北川と剛は市民に襲い掛かるコールタール原人を発見！

通信で高井戸博士は「市民の安全を確保できるまで手を出すな」と指示するが、
怒りに燃える剛は、北川の制止も聞かずバイクで飛び出していく。

剛(このままでは被害が広がるばかりだ！
　　一刻も早く変身しコールタール原人を倒さなくては！)

コールタール原人の姿を確認した剛は、空高く飛び上がり

「タイガー！」

「あーッ！！」


一転して大惨事

派手にジャンプしたせいでコントロールを失ったバイクは
逃げ遅れた子供(ひでおちゃん)に運悪く突っ込んでしまった。
かっこよく変身しようと見栄を張ったのがいけなかったのだろうか？

倒れる子供、迫るコールタール原人。
剛は変身するタイミングを逃したため、コールタールを浴びせられダウン。
駆けつけた母親の悲痛な叫びを耳に受けながら、剛は意識を失った。

タイガー3、子供を轢いてしまった…死にたい

目を覚ました剛を、行動を共にしていた北川は激しく非難する。

「先生の指示を無視し、勝手な行動をする！
　お前が怪我をするなら構わんが、子供まで犠牲にしたんだぞ！！
　出てけ剛！俺はお前を滅茶苦茶に殴りたいのを我慢してるんだ！！」

御指示通り出てった剛は病院へ駆けつけるが…


非常に重い空気　ちなみに奥の女性がジュン

母親(画像左)の無言の非難が剛に突き刺さる。
幸い手術は成功し、ひでおちゃんは一命を取り留めたが、
だからといって人を轢いた事実に変わりは無い。

罪の重さに苦しむ剛。「許してくれ！」
そのとき、剛を狙ってムー帝国の戦闘員が出現。


こんなにも賢いムー帝国。タイガーリンチだ！

精神的に弱りまくっている剛は無抵抗に殴られるばかり。
タイミング良く高井戸博士が銃をぶっ放し助けてくれるが…

「先生…苦しみを忘れられるなら…このまま死んでもよかったんです」

かつてここまで思い詰めるヒーローがいただろうか？
予想していたよりも酷い追い詰められ方である。
なんとか動画等でこのシーンだけ見ると「ちょwwwwwwこれはひどいwwww」
と笑ってられるが、全編通して見ると全く洒落にならない。

精神的にも肉体的にもリンチを受け、追い詰められた剛へ古井戸は…

「剛君。今の君には、我々とともに戦う資格は無い。
何故だか分かるか？
私の指示を無視して戦ったからではない。
苦しいから死にたいという君とは共に戦えないからだ。

　剛君。我々が死ぬときは他人の命を救うときだけだ！」

イケメン過ぎる発言に何も言えず立ち去る剛。
子供をはねたバイクで走り去る彼は再び事故ってバイクから投げ出される。

「父さん…」

タイガー4、死斗！コールタール原人

タイガーセブンのお守りを見つめ、父の言葉を思い返す剛。
タイガーセブン。古代エジプトより伝わる正義の鉄人…

転倒したバイクから通信が流れる。
「先生、コールタール原人が出現しました！場所は…」


今度はバイクを止めてから変身しました


タイガーヘッドビーム！

コールタール原人はタイガーセブンの活躍によって敗れた。
ひでおちゃんも順調に回復し、もうすぐ杖が無くとも歩けるようになるという。
そんなひでおちゃんの下に、差出人不明のお見舞い品が。


自分のフィギュアお見舞いに渡すヒーローの人って…

我々が住みやすいように作れた都市も安心は出来ない。
何故なら、その下にはムー原人によって殺された人々が
埋められているのかもしれないからだ。

俺は戦い続ける！
俺のためでなく、多くの人々の為に！

怪談風味なナレーションを背に、剛は人々の為に戦う事を決心するのだった…

つづく

タイガー5、総評のたっくん

ヒーローは誰の為に戦うのか？
それはもちろん、平和と人類の為なのだが
自分の行動がその真意を尋ねてくる。

剛の行動はもちろん、正義感から出たものであり、
被害を最小に抑えようと勇気を持って飛び出したものである。

しかし、「変身してさっさと倒せばいい」という考えは
変身できる自分への自惚れもあったのかもしれない。

冷静に北川と高井戸博士と連絡を取り合えば未然に防げた事故だっただろう。
仲間にも言えない自身の秘密が同時に仲間との距離を作っていたのだ。

変身ヒーローのお約束である「変身」を逆手に取った事故であったが
同時に変身ヒーローの宿命である「正体隠し」から来る溝を状況で語らせる憎い演出だ。

被害者の行動も妙に渋い。
病院に駆けつけた剛に対して母親はただ無言で恨みがましい目を向けるだけである。
昼ドラなら掴みかかって泣き叫んで

「ひでおちゃんが死んだらどうしてくれるのよ！」
とヒステリー起こしそうなものだが。

でもこれ子供向けの特撮だよね？渋すぎね？
26話で終わった理由はこの辺にあるだろう。

結局、剛は自分自身の中で罪と向き合うことができたが
現実問題として人をはねてしまった時、こうも見事に立ち直れるだろうか？
我々は「交通事故は加害者も被害者」という言葉を重く受け止め、
コールタールに限らず、文明の弊害を見つめ直さなければならない…

いや、特撮見てそこまで考えなくてもいいか。

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人身事故シーンだけアップされてたので貼って置く